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認知症は予防できる? 「白澤記念クリニック」最高顧問である白澤卓二先生に、実際の事例や詳しい指導内容をお伺いしました。

認知症を「予防」という観点からサポートする認知症予防専門医院「白澤記念クリニック」。

その最高顧問を務める白澤先生に、認知症のメカニズムから認知症の具体的な予防方法までをお訊きしました。

認知症はこれまで、予防も治療も難しい病気として認識されていました。
しかし、さまざまな研究が進むにつれ、認知症は早期の対策で発症を予防することは可能であるということがわかってきています。 今回は、認知症予防専門クリニックの最高顧問を務める白澤卓二先生に、認知症における予防について、その重要性や具体的な予防のポイントを教えて頂きました。

認知症の予防法は確立している
認知症における予防の重要性とは? 

認知症は、早期発見・早期治療で問題が解決する病気ではありません。 もしも早期に発見して早期に治療することで解決するのであれば、癌の場合のように、早期発見で良くなりました、という人が世の中にたくさんいてもいいはずです。

しかし、認知症ではいませんよね。 治療して認知症が良くなった人は世界中にひとりもいないんです。 その理由は、今の認知症の治療が対症療法だからです。

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要するに、認知症という病気を治す治療薬は無いのです。それならば、予防するしかないのです。 認知症が怖い病気でなくなったのは予防法が確立したからです。

本来、順番でいくと治療法が出てきてから予防法が出てくるのですが、私は治療薬が先に出てくる必要はないと思っています。治療薬がなくても、予防法が確立することによって、この病気は今ほど問題になる病気じゃなくなる可能性が高いんです。

 

認知症は生活習慣病のひとつと考える

―認知症の予防としてはまず何から始めればよいのでしょうか

予防は今日からでも実践できます。例えば、血糖値や血圧を抑えること。 たばこも控えた方がよいでしょう。

これらは、生活習慣の一部ですよね。私から言わせれば、認知症は生活習慣病。 私は近い将来アルツハイマー病は生活習慣病になると思っています。生活習慣をコントロールすることによって、認知症は予防できるのです。

 

―なぜ、生活習慣と認知症が関係するのですか

Ⅱ型の糖尿病の人はアルツハイマー病の発症が2倍高いということが分かっています。 アメリカ、ヨーロッパ、日本でも糖尿病の人のアルツハイマー発症率が2倍という結果が出ています。 つまり、糖尿病の人をちゃんと治療することによってアルツハイマー病の発症率が半分になるんです。 これで予防可能という理屈が出てきます。

私は、糖尿病の先にあるのがアルツハイマーだと考えています。 だから糖尿病の人は、血糖を厳しくコントロールしていく必要があると思っています。

また、太っている人がアルツハイマー病の発症率が高く、やせることによってリスクが下がること、中年期の高血圧も発症率が高いということが調査からわかっています。要するに、生活習慣の見直しなどのやりようで発症率を下げることができるのです。

 

認知症の予防法で重要となるのは食事

―予防として、具体的に生活の中でどのようなことに気をつければよいのでしょうか

ひとつは食事ですね。特に、きちんと噛むことが大切です。噛むことは広範囲に脳を使います。 飲み物を飲んだり、噛まずに飲み込んだりしても脳に刺激は入りません。 日本人の最近の食事を見ていると、ほとんど噛んでないことも多くあります。 噛まなくても食べられるものが多いんです。

例えばカレーライスを噛まずにすぐ飲み込んだり。 だから、わざと噛まなきゃいけないものをお皿にのせるということはひとつの認知症対策と言えます。

―食事の内容も予防に関わりますか

そうですね、何を食べるかも重要です。 最近ではココナッツオイルとかオメガ3の油とかありますよね、この油も重要なんです。

脳の海馬という深い部分にあるところのMRIをとるとオメガ3が低下しているのがわかります。 オメガ3をしっかりとっていると脳が萎縮しにくいと言われています。

日本人は昔から魚を多く食べていたので、脳の中にたくさんのオメガ3があったはずなんです。 ところが最近は、サラダ油が出てきて、加工食品の中にもオメガ6というサラダ油の系統が入っているので、脳の中のオメガ3が不足してしまっているのです。 オメガ3をしっかり摂るには、魚をしっかり食べること。サプリメントもありますので、魚がダメな人はサプリメントにしてみましょう。 サプリメントで摂ってもすぐに脳の状態が戻るわけではないので気の長い予防法ではありますが、確実です。

ココナッツオイルの方は、摂取してから4時間後には効果がでます。
そういう意味では即効性があります。 ココナッツオイルの場合は中に入っている中鎖脂肪酸が肝臓でケトン体に変わって、脳がケトン体を吸収することで認知機能が上がります。 このふたつを組み合わせて、食事の指導というものも行っています。

―避けた方がよい食事などはありますか

パンに使われている小麦粉の中にグルテンというたんぱく質が含まれているのですが、 これを食べ続けていると認知症になりやすいです。 私のクリニックに40代、50代の人が来られたら、私は「パンをやめなさい」と言っています。

ただ、日本人は小学校の給食でほとんど毎日パンを食べていたからなかなかパンがやめられないんですよ。 オメガ3よりも、パンをやめることの方が、より認知症の予防にはなるのです。

 

―認知症予防に理想的な食事とは

日本人だったらまず玄米、それから納豆、卵、魚、これが基本ですね。

日本の朝食というのは、玄米、お味噌汁、納豆、卵、焼き魚、あとは根菜。これでいいんです。 毎日同じでもかまいません。 夕食は、お肉が好きな方であれば、ステーキに赤ワインとお野菜。お肉は噛みごたえのある赤肉がよいでしょう。 魚であれば、青魚にすればオメガ3をしっかり摂ることができます。 こういったメニューは満足度も高くなるので、パンとか小麦粉なんかもいらなくなりますよ。

 

―先生のクリニックでも食事指導をされているのですか

食事のマネジメントは何においても重要で、前向きに挑む人は食事から変えてきています。 サッカーやボクシングの選手なんかもそうですよね。 クリニックでは悪いものをやめるというアプローチをしています。 パンをやめさせるには勇気がいりますが、それだけエビデンスがあるので私は指導します。 だから、患者さんが毎日パンを食べている方であれば、そこから離脱するところから始めます。

お昼にパンやうどんなどグルテンが含まれているものを食べると、脳がアタックされて、午後は一時的に認知機能が低下してきます。 グルテン摂取をやめたときからパフォーマンスは変わってきます。 この予防対策は、治療薬をつくるよりも効果がすぐに出て、すぐに実践できます。 これを続けることで、認知機能を貯蓄することも可能なのです。

 

脳を刺激し、認知機能を「貯蓄する」ことが予防になる

―先生のクリニックは認知症予防専門ということですが、どのような予防法を行うのでしょうか

認知機能が低下するのは45歳からです。通常はMMSEというテストでアルツハイマーの進行を検査しますが、うちではコグニトラックスという検査をメインに行い、推論能力や実行能力、注意力、反応スピードを見ます。

通常の物忘れ外来などでは記憶を司る海馬という部分の記憶力低下を確認していますが、うちはもっと広い、脳全体を見て、機能が落ちてきたら貯蓄する、という考えを持っています。例えば、骨粗しょう症であれば骨の中にミネラルがいっぱいあれば更年期になっても大丈夫というのと同じで、今から認知機能を貯蓄しましょう、ということです。

脳の中には幹細胞というものがあって、刺激すると脳の細胞が増えます。この刺激によって脳の細胞を増やしておくことで、仮にアルツハイマー病に発症しても、貯蓄があるために症状が出にくい状態を作ることが可能なのです。

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―脳を刺激するとはどのようなことですか

例えば、オルゴールの音を聞かせるとか。オルゴールの音は脳の右側の部分を刺激するんです。そのほかに、うちは磁気治療も行っていて、磁気で左側の部分を刺激します。また、コグニバイクという運動器具なども使って、あらゆる部分に刺激を送れるようにしています。脳というのは機能分担があるので、海馬だけを狙ってもダメなんです。海馬だけではなく、前頭葉も大事だし、頭頂葉も重要、側頭葉もですね。満遍なく刺激をすることが重要なのです。そして貯蓄をするという概念が予防では非常に重要となってくるのです。

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生活の中では複雑な駅の使用と食事の見直しを

―認知機能貯蓄のために、患者さんには特にどのようなアドバイスを行っていますか

認知機能の低下が出てきた患者さんによく言うアドバイスは、「銀座の駅で降りなさい」ということですね。銀座の駅は非常に複雑です。乗り換えるときは、東京駅や新宿駅、渋谷駅で乗り換えなさい、とも言います。こういう乗り換えができるということは非常に大事です。40、50の時は大丈夫でも60になると辛くなってくるのです。こういった複雑な駅を使うときは、脳を非常によく使います。外出をして買い物をするときや、複雑な駅を通過するとき、脳は一番刺激されるのです。

また、食事でよく噛むことや、オメガ3をしっかり摂ることも指導しています。オメガ3の油をしっかり摂っていると脳が委縮しにくいと言われています。 私は認知症は生活習慣病であると考えています。食事に気をつけて血糖値や血圧を抑えたり、よく噛んで脳を刺激したり、オメガ3を含む青魚を食べることで認知症の発症率を下げることができるのです。

 

―こういった予防法の成功事例としてはどのようなものがありますか

私のクリニックは開院したばかりでまだ事例は少ないのですが、私と同じ考えで予防に取り組んでいる友人が同じ方法で10人くらいに指導を行い、論文を出しています。彼のやっていることは食事のコントロール、ケトジェニックダイエットやストレスを減らしたり、十分な睡眠をとったり、エクササイズをしたりしています。

また糖尿病の患者さんよりも厳しいラインを出して、それを実行してもらうようにしています。彼の論文には、オメガ3の数値や睡眠を十分に摂りなさい、運動はこのぐらいやりなさいというのが具体的に書かれています。

 

患者さんに合わせた脳のフィットネスを行う

―クリニックで予防を受ける患者さんとはどのような方が多いのでしょうか

年齢層は60、70代の方が来られています。中には80を超えている人もいました。例えば、会社は息子に任せている会長さんなんかもいますし、まだ会社でやれることがあるということで認知機能を保つためにいらっしゃる方もいます。全体的に、うちのクリニックで行っていることを理解したうえで来られる勉強熱心な方が多いですね。後は認知機能の低下を防ぎたいという強い意志がある人が多いです。

私のクリニックでは、年齢では区切っていません。その人の認知機能が低下しているかどうかを重要視しています。 予防というと自分がまだ病気ではないので意識しにくい、といったことがあるかもしれませんが、私は予防と言うより、脳のフィットネスと言った方がわかりやすいかな、と思っています。脳をフィットネスして、認知機能を貯蓄するのです。

ただし、患者さんひとりひとりで生活が違うので、フィットネスも個人に合わせたものにすることが必要です。クリニックでは、最小の努力で最大の効果が出るような脳のフィットネスを選んで、指導を行っているのです。

認知症は知らず知らずのうちに発症し、徐々に認知機能が低下するとともに日常生活に支障が出るようになり、最後は介護が必要な状態になります。

現時点では、有効な治療法が確立していないことから、認知症の発症を予防することが高齢期の生活の質を高く保つ唯一の方法です。

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