人の体のほとんどは水でできていますが、
水の構成比は年齢とともに変化していきます。
子どもの頃は約70%を水が占めるも、
成人では約60?65%、高齢者で50?55%
ほどになるといいます。
お父さんのように、人生の酸いも甘いも経験し、
若い頃のギラギラ感も落ち着いて、渋みが増してきた人を
「枯れた人」と称することがあります。
実際のところ、枯れた人といわれる中年期や高齢期は、
若い頃と比べて、文字通り水の保有量は減っているのです。
これは年齢とともに筋肉が減って、
脂肪が増えていくことと関係があります。
筋肉の細胞は水分を貯めておけるのですが、
逆に脂肪の細胞は水分を貯めにくい性質があります。
特に高齢者は、加齢とともに
筋肉が減り、脂肪が増える傾向がありますので、
体の中に水を貯め込む力が弱くなっています。
さらに高齢者は感覚機能の衰えにより、
のどの渇きも感じにくくなっています。
そのため、暑くなり汗をかきやすい季節は、
高齢者の脱水症状に注意が必要となります。
脱水症状になると、汗をかいて
体温を調整することができなくなります。
すると、体に熱がこもって、
だるくなったり、ぼーっとしてしまったりなど、
一見すると、認知症の症状と見まがう様子を呈します。
また、慢性的な脱水症状は、血液がドロドロになることで、
脳梗塞や心筋梗塞の引き金になることもあります。
夏場や季節の変わり目などは、脱水リスクが高まる時期です。
トイレが近くなるのを嫌がって、水分補給を控えるのではなく、
適切に水分を補給することが大切になります。
人が一日に摂取すべき水の量は、
食事から1日800ml、飲み物から1000~1500ml
といわれています。
なお、脱水の状態に陥っているときは、
その人の手の甲の皮膚をつまむと、
つまんだ形がそのまま残るようになります。
(ハンカチーフサインといいます)
こうしたサインを見逃すことなく、早め早めの水分補給で
夏場の脱水症状を回避したいところです。